旅立ち - 柳瀬
2017/03/17 (Fri) 13:22:05
Re: 旅立ち - すくな
2017/03/23 (Thu) 13:59:25
【光のゆくえ】
これは、どこかの街灯に落ちてきたお星さまが、お空へ帰るときのお話です。
「シグレム、僕は行くよ」
「ホントに行ってしまうのかい。せっかく友達になれたのに」
街灯のなかには光がふたつ。ああ、みなさんはどうかよくよく見てはいけませんよ。眩しくってお目目がチカチカと、痛くなってしまいますからね。
「僕の怪我が治るまでって、約束だろう」
「でも、お星さまが夜空に一つなくなったって分かりゃしないよう。ここで一緒に街を照らそうよう」
街灯の光、シグレムは悲しくなってお星さまへ呼びかけます。琥珀色したお星さまは答えます。
「街灯一つだってなくなったら、街の人は困るんじゃないかい。だから、僕らは僕らに出来ることをしなくっちゃあいけないよ」
そうでした。街灯のシグレムは街灯の光として、お星さまはお星さまの光として、それぞれの場所でキラキラピカピカ輝くのがいちばんなのでした。
「わかった。お星さま、きっと空へもどっても僕らはずっとおなじだよね」
「そうともさ」
その夜、不思議な流れ星があったそうです。